不連続な日々

そんなに続かないです

\フロイデ!!/

今日テレビでやってた、ご存知、関西の師走の風物詩、一万人の第九のお話。

 
今年初めて参加してきました。
 
ぼくが第九に一番最初に触れたのは、小3だったかな。こちら地元の町の第九コンサートがあって、そのシロウト合唱団に家族で参加したのが初めて。当時は声変わりもしてなかったから女声のアルトを歌ったわけですが、横でおっさんたちの歌う男声パートの地響きのような声がカッコよくて、俺もおっさんになったらこーゆーかっこいい声で第九歌いたいなー、と思ってたわけです。
 
そこからいきなり時は流れて、数十年後。。。流れすぎ。
 
ホントにヤル気とか、ちょっとしたタイミングがずっとなかったのもありますが、ちょうどいい感じのおっさんになってきたし、ふと思い出したかのように、じゃ、いつやるの、以下略でしょ!というわけで、どうせやるならでっかいプロジェクトに乗っかりたいというのもあって、大阪ではおなじみの、かの有名な、一万人の第九に応募したわけです。第九はなんだかんだで毎年聴いてることは聴いてるから、まぁわかるっしょ、という軽い気持ちで。
 
それで、見事に第3か4希望ぐらいのとある郊外のクラスに当選しまして、
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このなんとも時代を感じる文化ホールとかいうところで、夏の終わりから3ヶ月ほど、毎週木曜の夜といえば第九のレッスン、という日々を過ごしてきたわけです。
 
実際、ドイツ語は長らくやってきてるので、カタカナなしで読めるのがぼくのあまり実用しきれていないセールスポイントなのですが、
 
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音  符  が  よ  め  な  い
 
 
 
という決定的な欠陥がありまして。。。
しかも自分のパートであるバスは、ヘ音記号。音符のほうにカタカナつけなあかんわ。。。楽譜読めてるフリするのもなかなかつらい。明らかにヒトよりページめくるの遅れてますからね。。。
 
楽譜が読めなくても、メロディについては、パート練習用のCDがあるので、これを聴きながら丸暗記、という感じです。
こちらの、なんだか昭和っぽい感じのジャケットのディスクであります。
 
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車の中やひと気のない場所でこういう4部合唱のメロディらしくもない一部分を、しかも異国の言葉でそれなりのボリュームで口ずさんでいたわけで、マントラでも唱えてるのか、というかなり怪しいおっさんではありますね。
さらには運転しながらルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルとか言うて巻き舌の練習なんて、よく通報されなかったもんですね。
 
練習は通常のクラスレッスン以外に、本番直前に指揮、総監督の佐渡裕さんが直接合唱団を指導する、通称サド練というのがあって、いつもの先生とは違う、指揮者視点でのレッスンを受ける機会があります。
 
このサド練では、みんなで肩たたきしたり、みんなで手をつないで歌ったり、ユニークな、常連さんにとっては「おなじみの」名物レッスンなわけです。このレッスンで、曲中にある男声のマーチみたいな箇所を佐渡さん含めて男達で肩組んで歌うんです。会場最前列に座ってると佐渡さんと肩組めます。一万人の第九はテレビで放映されるので、本番以外のこういう楽しい部分は、テレビに映り込む確率がグッと上がります。ここが大事な大事なアタックチャァ〜ンス!!!
 
 
。。。しかし、まぁみんな考えてることは一緒みたいで、開場時間にいってもそのポジションは残念ながらすでに押さえられてしまってたりするわけでね。。。
 
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実際のテレビ放映では東京のサド練が映ってましたね。東京のみなさん映り込み成功おめでとう!
 
 
まあそんなこんなでレッスンが12回もあって、暑いですねぇから涼しくなりましたねぇになってまた暑くなりましたねぇからやーっと寒くなりましたねぇ、と、今年特有の激しい寒暖差を乗り越えて、気をつけてたのに直前に謀反のように風邪にヤられてしまい、どうしようかとハラハラしながら、なんとかユンケルパワーで押し切ってとうとう本番の日を迎えて。。。
 
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大阪城ホール、歌うポジションはあらかじめ配られる座席券で決まっていて、
僕の場所はスタンドの前列だったので、オーケストラも指揮も案外見やすい場所だったのですが、
 
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当日、朝イチに、欠席者分の空席を詰めていく作業があって、それに伴い僕はアリーナ最後列に移動になってしまい。。。
 
 
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ここがまた指揮見にくい場所で、テレビに映り込む確率もこれまたグッと下がってしまい。。。
 
 
 
ここまでダラダラと書いていますが、まだ本番にもなっていないという。。。
 
 
肝心の本番は、こういう拙い文章は伝わらないぐらいの、圧倒的な迫力で、四方八方から声という声が飛んでくる、この迫力は、アリーナでしか感じることのできないものでした。そういう意味ではアリーナに移動になってしまったのは幸運だったと思います。
 
実際、大阪城ホールはデカい。
そのデカいホールの端から端まで演じる側なわけで、これだけ広いホール、言わずもがなみんなの声が遅れて聴こえてくるので、音ズレは相当あります。作品として、音楽的にはどうなんだ、という代物だったりもすると思います。
 
この音ズレの中で歌うので、タイミング、テンポ、これで合っているのか、不安になりながら歌うわけです。先生方からは、鳴っている音を追いかけると必然的にズレるので、指揮見て歌え、という指示があるのですが、間近で見るとわりとデカいはずなのに、豆粒大にしか見えない佐渡さんの指揮見ながら歌うのは、なかなか難しいです。一万人で大縄跳びしてる状況です。ひっかかったらあかん、ひっかかったらみんなコケてまうで。。。
 
 
本番、朝早くから慌ただしいスケジュール、何もかもがあっという間。気づかないうちに時は流れて、いつの間にか、そんな一日を象徴するかのような猛烈なスピードで有名なコーダ(終結部)を歌い終えていました。
 
 
 
 
ホールじゅうのいたるところから轟音のような拍手。ブラボーの声。
 
 
このコンサートって、そこにいる人の9割が演者側という、特殊なコンサートなので、拍手を送られるはずの合唱団側が自分たちで拍手だのブラボーだのやっちゃうわけで、そこには賛否両論あるみたいなんですが、あの瞬間こそ、歌う側も聴く側も、主催する側も参加する側も、さまざまな苦難を乗り越えて、やっとホントに一つになった瞬間だと僕は思うし、
またこの景色が見たい、この一体感を実感したいからみんな毎年やるんだなぁ、と思いました。
 
確実に来年もやりたいですし、まだ体験したことのないみんなに、こんな拙い文章で伝わらないこの信じられない音圧を感じてほしい。みんなBrüderになれる。
 
 
Alle Menschen werden Brüder
全ての人々が兄弟になる
 
 
↑ホント、これです。
ヘタな宗教みたいなこと言いますが、近からず遠からず。
 
 
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